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DeNAのエンジニアが考えていることや、担当しているサービスについて情報発信しています

2020.10.15 新卒研修振り返りレポート

【研修編】願いドリブンで新卒の成長環境を考え続けている話

by kocchi

こんにちは!CTO室の平子 ( @ko_cchi ) です。 新卒研修の振り返りレポートですが、今回が最終回になります。 統括として研修オーナーをしていた私が締めます (遅。

若干スコープを広げて、今年の研修・配属を含む新卒エンジニアの環境をどう作っていってるかを以下の切り口から話したいと思います。ただ、かなりボリューミーなので、研修編と、配属編に分けることにしました。

今回は研修に関する内容で、全7章立てです。前後編分けてもまだ長いので、お時間ある時に御覧くださいw

前提

まず前提として20新卒、エンジニア研修の概要を記載します。

  • 期間:約3ヶ月
  • 人数:30人弱
  • 対象:ソフトウェアエンジニア

実は私は19新卒の研修から関わっており、今年も

  • 研修
  • 配属
  • 配属後のオンボーディング

まで担当させていただく事となりました(責任重い。。。w)。

2年目と言う事もあり、 How の部分はかなり変化してきています。 リモート化の影響だけではなく、研修の奥には「願い」みたいなものがあって、それを実現するために走りながら Upadate し続けていきました。

第0章 願い

〜研修のコンセプトの前の個人的な願い〜

私は新卒に対して「願い」みたいなものを持ってて、いや、みんな持ってると思うんですけどねw それが研修と言うPJTの中で、走っていく内に徐々に、固まりつつも変化し、膨れながら削られ、自分自身で徐々に言語化できるようになってきました。 現時点のものを言語化するなら、

「キツイときもあるけど、夢中になってコトに向き合い、振り返ったときに楽しかったな」と思える。
その成功体験を糧に次のチャレンジを自ら掴んでいく人達になって欲しい。

というものです。(長いですけど、これでも結構まとまってきたんですよw) 研修全般はこの事を念頭に作っていきました。

第1章 研修コンセプト

〜前提が変わればOutputは変わる〜

新卒エンジニアの育成は、各社様々な観点で工夫されていると思います。会社によって当然事業形態も違えば、規模も文化も違います。なので、どれが正解だということは無いと思っています。 どれも正解であり、みなさん毎年アップデートを繰り返していると思います。

そんな中で今のDeNAの会社特徴をざっくり挙げてみます。

  • 事業会社であり、事業間の異動も活発
  • 向き合う事業の性質・規模・フェーズによって、技術スタックの 考え方・組織の在り方は異なる
  • 業界の流れを先読みし、事業をスピーディーに変革させるが故、扱う技術がスピーディーに進化していく

この前提において、常に学習し自己変革していくスタンスの重要性を伝え、それを促していく環境・鼓舞し合える仲間との繋がると良さそうだと考えました。

なので今年の研修は自己学習・環境構築にフォーカスをしてみました。

第2章 成長のJカーブ

~ 成功体験の大切さ ~

DeNA新卒は配属で様々な事業ドメイン、環境にアサインされていきます。規模も違えば学んでいく技術やビジネスモデルも違うし、仕事のスタイルも異なります。

でも私は配属後初めての仕事では成功体験をしてほしいと考えていました。
最初の壁にぶち当たったとしてもそれを乗り越える術と、乗り越えた時の喜びを伝えたかったのです。 配属後は当然配属後の上長がいるので、研修を通じて、なんとかこの成功体験の確率を上げられるチカラをつけたいと考えていました。

新しい環境でのスタート直前では、うまくいかない状態に陥り失敗を繰り返します。 諦めずにもがいて、自分を信じ続けた先に、やっと浮上のきっかけがやってくる。
一度沈みこんでから、浮上していく。そんな 成長のJカーブ を体験させたかったのです。

私自身も新卒エンジニア研修にて壁にぶち当たり、その中で自分を常識を変化させていくことでその壁を乗り越えるという経験をしました。当時、2013年の新卒として入社した私も当時研修を受けていました。

こちらの資料は、2013年の新卒研修の紹介資料ですが、実際にこのフォローアップを受けていたのが私ですw
進捗が遅れに遅れ、その中で挫折と焦燥感を味わいましたが、メンターに密に振り返りに付き合っていただいたおかげで、なんとか立ち上がり、無事研修を終えることができました。
この経験は今でも仕事をする上で、この不確実な世の中を渡り歩いていくなかで私の大切な礎になっています。

第3章 研修(準備)開始

~まずは自分が変われという話~

そんな大層な事言いつつ、私自身が変わらないのは違うよね!という話だと思うので。 20卒の研修検討を始める前に、19卒エンジニアの皆との振り返り会からはじめました。ここでgood、badをもらって、私自身をアップデートをしたいと考えました。

19卒の研修に関しては以下をご覧ください。

LT会が紡いだ19新卒の横の繋がり。きっかけを生んだエンジニア研修の内容は「全員一緒」の真意

振り返りをしてみて、もちろん狙い通りになっているものもありました。 ただ、もっとうまくできたもの、正直研修生に辛い思いをさせてしまったこともありました。(私のスタンスがブレて混乱させてしまったことも。)事前に伝えたほうが良かったことも多々ありました。
当事者達である19卒の皆は私にストレートに気持ちをぶつけてくれたと思います。ありがたいですが、同時に心は大分辛いですw 自分の不甲斐なさを呪いつつも、前に進めなければなりません。

そこで今年は19新卒を研修コンセプトを決める際に入ってもらう事にしました。

「一緒に20卒の研修に考えてくれないか?」

不意に問いかけていましたw
助けてくれ〜という思いが強かったんですね。
そしたら・・・多くの手を上げてくれました。
救われる思いでした。(みんなありがとう)

ここから色々なメンバーの興味毎に分科会的に進めていくことになりました。 分科会になると気をつけなくてはならないのは、全体の骨子です。 研修について大事にしていくキーワードを決めて行くことにしました。

  • 透明性 ( Openness )
    • 研修のことに関しては全て、全社public な slack channel をベースにすすめていくことにしました。
  • 縦横のエンジニア社員との繋がり( Connect )
  • 網羅性 〜 知らないを知る 〜 ( Coverage )
  • 研修だからこそできることをする

第4章 協働戦線

~ コンテンツ作り・仲間作り ~

ありがたい事に研修の理想を実現するための仲間を増やす事ができました。
これで成長のJカーブを体験してもらう事ができそうです。
ただこの体験をするには、一定期間が必要になってきます。

3ヶ月弱ぐらいを目安に考えた時、社内関係者だけで、研修を完結させるのは難易度が高いです。
そこで、外部の研修会社様と共に作っていく意思決定をしました。どんな研修にしたいかを先方とことん話し合い、上記の分科会での意見も含め思いをぶつけ合いました。

技術選定と、コンテンツクオリティの担保に関しては、社内のエキスパートを巻き込ませていただきました。DeNAは社内iOSやAndroid、GOなどの技術領域ごとに複数の技術コミュニティが存在します。
コミュニティメンバーに協力依頼をして、主にコードレビューや社内でコードレビューのクオリティラインのすり合わせなどをしていただきました。

コンテンツ自体がどんな内容になったかは記事でさらっと。

20新卒エンジニアの研修振り返りレポートが始まります🙌

第5章 研修における心理的安全基地

~ 安全性が高まれば高まるほど挑戦できる(メンターも!) ~

研修がスタートした事をイメージした時に、他の新卒がいる横並びで「ヨーイドン!」な環境で、他者と比較してしまうのは自然なことだと思います。そんな中、他者との違いが欠点に見えて、全部補わなければならないと、同期のいいところ全部取りした完璧な存在を理想に掲げ始めます。
理想とのギャップは果てしなく、自信を失ってしまう人もいるでしょう。
そんなときに、一人で悩んでいても解決されることは稀だと思っています。

そんな新卒達を導く心理的安全基地 ( セキュアベース )の存在は不可欠だと考えました。各新卒に対して、研修中もメンターをつけれないか検討し始めました。
結局、1人の新卒に対して2人ずつメンターをつけることにしました。

え?メンター2人つけるんですか?

って思われたと思います。そうなんです、2名体制にしました。 それは以下の理由からです。

心理的安全基地 ( セキュアベース ) は何も新卒に限った話ではありません。 メンターにもセキュアベースは必要なのです。いきなり、
「あなた明日からメンターね。」
と言われてできる人は少ないですよね。
まずは、系統的なメンター研修を実施しました。 主に傾聴におけるノウハウを共有したあと、実際に 1on1 してみるというものです。
研修期間中には、隔週で定例を設けコーチングのテーマに沿って話してみたり、学びを共有し合うような場を作り経験学習のサイクルを回していきました。 2名体制だと学びの共有などの経験サイクルが促進されて、結果としてメンターの仕組みはとても良いものになりました。

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自分がどこに向かいたいのか

自分の事を自分が一番わからない説は、私の中では鉄板です。

「あれ、自分って、なんでここにいるんだ? なにがやりたいんだっけ?」

私も度々この状態に陥ることはありました。そんなとき、立ち戻るものがあるでしょうか。 やりたいことはコロコロかわるし、世の中も、自分を取り巻く環境も変化していきます。

在りたい姿・なりたい姿があるか、今、在りたい状態なんだろうか? なりたい姿のための今なのか?

それを人は生きている間ずっと考え続けるんだろうなと私は思ってます。 個人的な考え方ですが、私はそれを一人だけで導き出せる人ってなかなかいないんじゃないかなと。

他者を知ることで自分の性質を知る。 傾聴され、言語化することで自分の思いを認識する。

この体験を生み出すためにも、自分とは違う同期がいて、メンターが言語化のサポートできる環境を用意しました。
そんな中、新卒達は研修中に自らが向かいたい目標を立てたのでした。
自分と目標に実際どう向き合ったのか、これに関してもレポートを書いてくれました。こちらも是非。

同期に打ちのめされてから、立ち直るまでの話

第6章 チーム課題

〜チームワークとのめり込み〜

ある野球マンガで、真のチームワークとは全員が、「自分が」このチームを勝たせるんだと思うこと と言っています。 私はこの考え方が好きだし、この状態はめちゃくちゃ楽しいです。夢中 になれる一つの条件だと思っています。

研修の最後のお題は、「4人で1チーム、約3週間で1つのサービスを作る」というものでした。 最初にチームに与える問は、
「このチームの目標はなんだろう?」
というものにしました。

先に書いた様に、各々の研修における目標は異なるはずです。そんな4人が集まった時、何が起こるのか。
おそらく、チームの目標が曖昧だとバラバラになっていくでしょう。
そうならないためには、各々の目標・在りたい状態を開示し合う必要もあります。

研修というやることにかなり制約がある状況の中でも、

  • 個人の思いをぶつけ合いながら、向かいたい方向を自分たちで定める
  • やりたいからやっているという状況を自ら作る
  • 作った目標に対して全員がのめり込む

ができるんだということ体験してほしかったのです。 チーム開発に関しての感想をまとめてくれたスライドがあるのでこちらも是非御覧ください。

最後に・・

いかがでしたでしょうか?「願い」は感じられましたか?
研修を通じて新卒のみんなに伝わっているといいなぁと思い続けた半年でしたw
キーワードは、「成功体験」、「心理的安全基地」、「チャンスをつかみチャレンジし続ける」、「変化を恐れない」でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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